自分としては、予想通りの結果になりました。
カカ擁するミランとジェラード擁するリバプール。
この2チームの決勝だったわけですが、やはり鍵となるのはこの二人。
もちろん、両チーム試合前からきっちりと作戦を立てて、相手の選手に仕事をさせないようにしてきます。
そして、この試合の前段階でこの試合の結果は決まっていました。
リバプールは致命的なミスを犯し、ミランはいつも通りのサッカーを展開した。
この差が、(ゴールの形自体は特殊でしたが)そのまま結果になったのだと思います。
さて、ではなぜそうなったのかについての分析をしてみます。
まず、ミラン側。
インザーギ
カカ
セードルフ アンブロ ピルロ ガットウーゾ
と、こういう配置でした。
ここから読み取れる意図は
1.右サイドのカカの守備負担を、ガットゥーゾに振り分けることでカカを活かす
2.セードルフが飛び出すことによって、3topのような形にする
3.フラットにすることで、どの選手もジェラードを警戒することができる
対して、リバプール
カイト
ゼンデン ジェラード ペナント
マスチェラーノ シャビアロンソ
中盤に5人を集めた4-5-1。
この狙いは、
1.中盤を狭め、一人多い人数でプレスすることでミランの中盤を自由にさせない
2.それにより、カカを消す
多分、こんな狙いだったんだろうと思います。
さて、前半は完全にリバプールのペース。
ミランの中盤の選手がボールを持つたびに、3,4人で一気にプレスをかけ、奪いにいきます。そしてパスを出されると、すぐさまその選手にも数人が寄ってきて……という、ある意味理想的な守備が出来てはいました。
実際、カカにはほとんど何もさせなかったわけですし、常にリバプールが攻めているかのように感じられました。
が、結局そのまま、前半では一点も入れられずに、逆にインザーギの幸運(?)なゴールでミランが先制。
あれはリバプール側としても予想外だったでしょうが、むしろ、だからこそ作戦の変更が必要でした。
攻めているように見えるのに、ゴールにならない。
これはもちろん運の問題もありますが、作戦の失敗、という可能性も十分にありえます。リバプールの監督は、どこを変えればいいのか分からなかった、とコメントしているようですが、あえて作戦に問題があるとして考えてみましょう。
まず、ボールを持った選手にプレスに行くということは、自分が今までにいたスペースが開く、ということです。前半のリバプールのような、<strong>全方向から囲い込むプレス</strong>が出来ていれば、守備的な心配はいりません。スペースが空いても、パスが出せないわけですから。
問題は攻撃です。前線の選手(カイト、ジェラード)が守備に参加すると、ボールを奪った後に困るんですよね。奪ってすぐにパスを出そうにも、元々のポジションにいないからパスが出せない。結果、攻撃が停滞してしまうわけです。
そうなると、中盤でどれだけボールを奪えても、攻撃には結びつかない……つまり、点数が入らないのも当然と言えば当然か、ということです。
もちろん、ジェラードやリーセの弾丸ミドルなどが決まれば流れはリバプールに傾いていたのでしょうが……
そして後半、疲れたリバプールは、前半の鬼プレスがうそだったかのようにパフォーマンスを落として、インザーギに2点目を入れられ、カイトが1点を返すもそこで試合終了。
前半、あまり効果的とはいえない走りを繰り返ししたので、後半の失速も仕方なかったのかもしれません。でも、キューエル、クラウチが入ってからは動かずともまともな攻撃が出来ていたので、やはり作戦ミスだったのでは……。
結論:強力な中盤に対抗することを考えると、それを大幅に上回るには相当の犠牲が必要。とすれば、ある程度は自由にさせて、要所要所での守備をきっちりとこなし、攻撃時の切り替えをしっかりとすることのほうが重要。
P.S ジェラードのトップ下、動き悪いですよね…….作戦以前に、それが問題だったのかもしれません